妻が浮気で妊娠した場合 - 夫がとるべき対処法
妻が浮気をした上に、浮気相手の子供を妊娠するという事態が起きることがあります。
離婚の検討や慰謝料の請求を行うのはもちろんですが、お腹の子供の扱いも決めなければなりません。
この緊急事態において、夫が取るべき対処法をケース別に見ていきましょう。
お腹の子供の父親を確定させるのが最優先。DNA鑑定をおこなおう
最初に行うべきなのは、お腹の子供の父親を確定させることです。
法律に関わるさまざまな手続きを行うためには、状況証拠だけではなく、法的な効力を持つ証明が必要になります。
また、父親が不明なまま中絶すると、慰謝料の請求でも不利になる可能性が出てきます。
妊娠中でも母親の血液を使ってDNA鑑定ができるので、必ず実行しましょう。
ただし、このDNA鑑定の費用は20万円ほどと高額です。
浮気相手が父親である可能性が濃厚なら、浮気相手に負担させるのもいいでしょう。
拒否されたとしても、鑑定の結果浮気相手が父親だと判明したら、必要経費として請求すればいいのです。
なお、中絶が可能なのは妊娠22週目までです。
結果次第で中絶を考えているのであれば、鑑定を急ぎましょう。
もちろん、「絶対に出産する」と妻が決意を固めているのであれば、産んでからDNA鑑定を行っても構いません。
その方が費用も安くすませられます。
浮気相手の子供を出産するなら、嫡出否認などの対応が必要
DNA鑑定の結果は、大きく分けて3つ考えられます。
いずれの場合も、出産するかどうかの決定権は妻にあります。
冷静な判断ができるよう、追い詰めすぎないようにしてください。
ケース別の対応は以下の通りです。
浮気相手の子供だった場合
(1)中絶する
子供に罪はありませんが、これも1つの選択肢です。
中絶費用は、浮気相手と妻で折半するのが一般的です。
(2)出産する
まずは出産を待ちましょう。
その後、子供の父親が夫でないことを法的に認めさせるため、夫は「嫡出否認調停」を家庭裁判所に申し立ててください。
この手続を怠ると、法律上子供の父親は夫だとみなされてしまうのです。
申立が可能な期間は、子供の出生を知ってから1年以内なので、忘れないように注意しましょう。
嫡出否認が認められたら、浮気相手に子供を認知させます。
認知さえさせれば、子供の養育費を支払う義務は浮気相手が負うことになります。
問題は、誰が子供を育てるかということですが、これは当事者全員で相談するしかないでしょう。
養子に出すという選択肢もあるので、子供のことを第一に考えて選択してください。
夫の子供だった場合
予定外の子供ということで中絶してもいいのですが、夫が認知した上で出産するのが最善でしょう。
また、浮気をしたという事実が消えるわけではありません。
不貞行為(肉体関係)があったことを妻や浮気相手が認めているのであれば、慰謝料請求の際に有利になります。
夫の子供でも浮気相手の子供でもなかった場合
さらに話が混乱します。
心当たりのある相手を妻に連れて来させ、再度DNA鑑定を行うしかありません。
浮気相手の子供だったのなら、慰謝料は最大500万円ほどになる
子供の処遇に気を取られがちですが、妻が浮気をした以上、離婚の検討や慰謝料の請求も行わなければなりません。
慰謝料の相場をケース別に見ていきましょう。
浮気相手の子供だった場合
不貞行為があったことがはっきりしているので、請求は容易です。
慰謝料の相場は、離婚するなら300万円〜500万円ほど、離婚しなくても200万円ほどです。
なお、中絶した場合は妻が浮気相手に慰謝料を請求することもできます。
こちらの相場は100万円ほどです。
夫の子供だった場合
不貞行為の客観的な証拠がないため、離婚したとしても慰謝料は50万円〜100万円程度になってしまいます。
ただし、妻や浮気相手が不貞行為の事実を認めていれば、300万円ほどになる可能性もあります。
もちろん、中絶すれば妻から慰謝料を請求される可能性があることに注意してください。
妻の浮気で妊娠した場合の慰謝料については、こちらの記事も参考にしてください。
妻が浮気で妊娠をした場合の対処法と慰謝料相場
まとめ - 子供に罪はない。自分の子供だと思って真剣に考えよう
妻が妊娠したのが浮気相手の子供だったとしても、その扱いについては真剣に考えなければなりません。
夫には何の責任もないのですが、生まれてくる子供に罪がないこともまた事実なのです。
自分の子供だと思って、中絶の是非や出産後の対応を議論しましょう。
結論が出せなければ、弁護士などの専門家を頼ってください。