住所調査の方法と費用|氏名や携帯番号から住所を特定する

皆さんは、誰かの住所を特定するために苦労した経験はないでしょうか?
民事訴訟を起こしたい時や蒸発した家族を探している時など、住所を調査しなければならない状況は少なくありません。
手がかりがほとんどない状況から住所を特定することはできるのでしょうか?

 

ここでは、住所調査の方法や費用について解説します。

氏名と携帯番号しかわからなければ、住所調査の難易度は上がる

住所を特定する方法の定番は、役所で住民票や戸籍の附票を確認する方法です。
家族や親族なら、住民票や戸籍の附票は比較的簡単に確認できます。
訴訟や慰謝料請求が目的の場合は、弁護士に依頼して職務上請求を行ってもらえば確認できるでしょう。
ですが、相手の本籍地がわからなければこの方法は使えません。

 

市役所が当てにできなくても、ある程度の居住地域や勤務先が判明していれば、探し出すのはそれほど難しくないでしょう。
しかし、氏名と携帯電話の番号くらいしか手がかりがないために、調査をあきらめてしまう人も多いのです。
以下の項目では、氏名と電話番号しか手がかりがないことを前提に住所調査の方法を考えていきます。

自力でおこなう住所調査

自力では、携帯キャリアに情報を開示してもらうことはできない

まずは、自力で行う住所調査です。氏名だけで探し出すのはかなり厳しいので、活用するとしたら携帯番号の方でしょう。
携帯番号からは携帯キャリアがわかりますから、携帯キャリアに頼んで探し人の住所を教えてもらえれば話は簡単です。
携帯キャリアと契約を結ぶには、運転免許証など住所のわかるものを提出しなければなりませんからね。

 

ですが残念なことに、自分自身で携帯キャリアに情報の開示を頼んだとしても、教えてくれることはありません。
それは個人情報の漏えいに他なりませんし、教えなければならない法的根拠もないからです。

 

その他、インターネットで情報を募る、新聞に広告を出す、地道にチラシ配りやポスター貼りをするといった方法がありますが、いずれも確実ではありません。
しかも非常に労力がかかるため、これらの方法で相手の住所を特定するのは現実的ではないでしょう。

弁護士がおこなう住所調査

弁護士は23条照会により、携帯キャリアから住所を入手できる

住所調査で強い味方となるのが弁護士です。
弁護士には法律上のさまざまな権限が認められており、自力では不可能な調査をしてもらうこともできます。

弁護士の住所調査の方法

弁護士が住所調査で使用するのは、通称「23条照会」と呼ばれる方法です。
所属弁護士会を通じて携帯キャリアに照会し、個人情報を取得することができます。
いわゆる3大キャリアの中では、ソフトバンクだけが照会に対応しない姿勢を取っていました。
しかし、最近は対応してくれたケースもあり、以前よりは調査の成功率が上がっています。

弁護士の住所調査が可能なケース

弁護士による携帯キャリアへの照会が可能なのは、相当性・必要性があると弁護士会が判断した場合に限られます。
訴訟や調停、慰謝料請求が目的なら、認められる可能性は高いでしょう。
しかし、昔の知り合いを探したい場合などは、法的な手続きが滞っているわけではありませんから請求は認められません。

 

また、弁護士が23条照会を行うのは、あくまでも訴訟や慰謝料請求に必要だからです。
これらの依頼をしているわけでもないのに「23条照会で携帯番号から住所を特定してくれ」とだけ頼んでも、引き受けてはもらえないので注意してください。
まずは弁護士に相談し、なぜ住所を特定しなければならないのかを説明しましょう。

弁護士の住所調査の料金

23条照会の料金自体は、弁護士会に支払うための数千円程度です。
ただし、先に解説したように、23条照会は弁護士の仕事の手段にすぎません。
そのため、総合的な費用は大元の案件によって変わります。
たとえば、離婚訴訟の代理人を弁護士に依頼するなら、最低でも50万円から60万円は必要です。

探偵は聞き込みで住所を特定する。違法な探偵には注意

探偵は弁護士と並ぶ住所調査のパートナーです。
弁護士のようにさまざまな権限を持っているわけではありませんが、独自の調査方法により弁護士では解決できないケースにも対応することができます。

探偵の住所調査の方法

聞き込みを行う

探偵の住所調査の基本は聞き込みです。
探し人がいるであろう地域に調査員を投入し、徹底的に聞き込みを行うことで居場所を特定します。
書類上の住所を調べるのではなく、住んでいる場所を特定するわけですね。

 

たとえ氏名や携帯番号しかわかっていない状況でも、誰かの住所を知りたい以上、相手との間に何らかのトラブルや交友関係があったはずです。
探偵なら、それまでの状況を詳しく調べることで、探し人のいそうな地域を推測することができます。
依頼者自身は気づかなかったヒントを拾い上げてくれるかもしれません。

提携先の弁護士事務所に依頼する

多くの探偵事務所は弁護士事務所と提携しており、必要に応じて協力を依頼しています。
23条照会で対応できそうな案件なら、弁護士に仕事を回すことで解決するケースもあるのです。
厳密には探偵の力で解決しているわけではありませんが、相談した意味はあったといえるでしょう。

携帯キャリアの内通者から情報を引き出す

探偵の中には、探偵業法で認められていない違法な調査を行う人もいます。
その方法の1つが、役所や企業にいる内通者から情報を引き出すというものです。
携帯キャリアに内通者がいれば、ユーザーの情報を売ってもらうこともできるでしょう。
もちろん完全な違法行為なので、このような方法を匂わせている探偵に依頼するべきではありません。

名簿業者から情報を買い取る

違法な調査のもう1つの方法が、名簿業者から情報を買い取るというものです。
名簿業者自体は合法な存在ですが、個人情報のやり取りに関しては厳しく制限されており、ネット上などに自分で晒していない情報を名簿業者が持っていることはありえません。
もし持っていれば、それは違法に入手した個人情報だということです。

 

かつては、名簿業者が探偵に情報を売ることがよくありました。
現在では法規制が厳しくなっているため、大手事務所や優良な探偵はこのような方法を用いません。
しかし、違法に情報を入手している探偵がいることも事実なので注意してください。

探偵の住所調査の料金

探偵の住所調査の料金は、1時間あたりで1万5,000円〜2万円程度です。
これは調査員1〜2名の金額であることが多いため、調査員を大勢投入すればさらに高額になります。

 

1日4時間の調査を行えば6万〜8万円、それを1週間続ければ42万〜56万円です。
パック料金ならもう少し安くなりますから、1週間で40万〜50万円といったところでしょう。

 

調査が長期化すれば、その分だけ料金も高くなります。
1ヶ月間調査を行うだけでも相当な出費になりますから、いつまで調査を継続するかは冷静に検討してください。

探偵の住所調査の成功率

探偵の住所調査の成功率は、70%から80%とされています。
極めて優秀な探偵事務所でも90%程度でしょう。
住所調査は手がかりの量によって成功率が大きく左右されるため、どうしても特定できないことはありえるのです。

 

なお、「調査成功率100%」などと宣伝している探偵が一部にいますが、このようなことはまずありえません。
どんな探偵でも調査に失敗することはあるからです。「必ず成功します!」などとうたっている探偵は信用しないようにしましょう。

たとえ氏名と携帯番号しかわかっていなくても、訴訟や慰謝料請求などの正当な理由があれば、弁護士を通すことで比較的簡単に住所を特定できます。
わからないことがあれば、まず弁護士を頼るといいでしょう。
しかし、昔の友人探しなど、弁護士でも対応できないケースもあります。
その時はぜひ探偵に相談してみてください。