探偵の調査にかかった費用は相手に請求できるのか?

探偵に依頼してパートナーの浮気を突き止めたのはいいけれど、料金がかなりかかってしまったというケースはよくあります。

 

もとはといえばパートナーのせいなのだから、探偵の料金もパートナーに請求できないだろうか? と考える人も多いでしょう。

 

ここでは、浮気調査や嫌がらせ調査の料金を、相手に請求できるかについて解説します。

最初に結論を言うと、状況次第で、一部もしくは全額を請求できるというのが正解になります。

 

決着が示談の形になるか裁判になるかで、請求できる可能性や金額も変わってきます。

示談の場合

示談の場合は、相手が不法行為を認めているわけですから、示談の条件として探偵の料金を請求することも可能になります。

 

料金を相手が負担する旨を示談書に盛り込めば、相手に法的な責任が発生するため、より確実になります。

 

料金の何割を請求できるかは、話し合い次第です。
相手が受け入れさえすれば、全額を請求することも可能です。

裁判の場合

裁判の場合は、慰謝料などと一緒に損害賠償請求として探偵の料金を請求できます

 

ただし、その金額は「相当因果関係」があった範囲とされています。
つまり、「探偵に依頼しないと浮気や嫌がらせの証拠をつかむことができなかった。
だからその料金は被害者が負った損害であり、相手が負担するべきだ」という裁判所の判断が必要なのです。

 

当然、この請求が認められないケースも存在します。
また、認められたとしても、全額を請求できるケースはあまり多くありません。
判例も、全額請求できた、一部のみ請求できた、一切認められなかったとバラバラです。

争いが裁判にまで発展した場合は、探偵の料金だけではなく、弁護士の費用も請求することができます。
請求できる根拠は探偵と同じです。

 

弁護士を雇う必要性があったことを証明できれば、損害賠償として請求できるのです。

 

ただし、金額は多くても慰謝料の一割程度とされています。
慰謝料が100万円なら、10万円が追加でもらえるということです。

 

慰謝料の相場は、一般的な夫婦が離婚にまで発展した場合でも、300万〜500万程度です。
最大でも50万円程度となり、これは弁護士の費用の最低ラインに届くかどうかといったところです。
あまり当てにしない方がよいでしょう。

浮気調査にかかった料金は、パートナーと浮気相手の両方に請求することができます

 

疑いようのない証拠を突きつければ、パートナーも浮気相手も降参することは珍しくないので、示談にすれば探偵の費用を請求しやすいでしょう。

 

その後も夫婦生活を続けるつもりなら、一歩譲って料金の一部のみ請求するのも悪くありません。

 

問題は裁判になった場合です。
探偵に依頼する必要があったことを証明しなければならないので、示談よりも難易度は上がります。

 

一例ですが、パートナーの携帯電話を盗み見るなどして、依頼する前に浮気の事実をつかんでいた場合は請求が認められないという判例があります。
「依頼する必要はなかっただろう」と判断されたのです。

 

多くの場合は、浮気の決定的な証拠がほしくて探偵を雇うわけですから、請求自体が認められないことはあまりないでしょう。

 

ただ、金額を多めに取ろうとするなら、「調査前は証拠がまったくなかった」ことを証明する必要があります。
決定的なものでなくとも、浮気の証拠をたくさん見つけていたのなら、金額は低くなると考えてください。

嫌がらせの調査を行った場合でも、探偵の調査料金を請求する流れは同じです。

 

示談で解決できれば全額請求するチャンスがありますし、裁判に発展したなら相当因果関係を証明すればいいのです。
請求する相手は、嫌がらせの犯人になります。

 

嫌がらせの場合、相当因果関係の証明は、浮気調査よりもさらに難易度が上がります。

 

家に毎日落書きをされたりゴミを投げ入れられたりしたのなら、犯人が家に来ているわけですから、「監視カメラをつけるなり、家人が見張るなりすればよかったのでは?」と言われてしまうでしょう。
そんな余裕はないということを証明する必要があります。

 

相当因果関係が証明しやすい案件としては、被害者の悪い噂を流していたケースなどが考えられます。
個人が噂の出所を突き止めるのは難しいですから、探偵に依頼する必要性があったと判断される可能性が高いのです。

 

いずれのケースでも、「自分だけでは犯人を特定できなかったのだ」ということをいかに主張するかが大切です。

探偵の調査費用であれ弁護士の費用であれ、相手に請求できる金額は決して高くありません。

 

相手が「全面降伏」した場合に、示談で全額請求できれば理想的ですが、そう簡単にはいかないでしょう。

 

したがって、相手に請求することを前提に高額な調査を依頼するのはおすすめできません。
あくまでも自分が支払うつもりで依頼しましょう。