結婚詐欺の被害にあった場合の対処法
結婚詐欺は、詐欺行為の中でも特に許しがたいものの1つです。
結婚を心待ちにしていた相手への裏切りであり、単にお金をだまし取った以上の罪があるといえるでしょう。
対応次第では刑事罰を与えることも可能ですが、そこまで持ち込むのはなかなか難しいのが現実です。
ここでは、結婚詐欺の被害にあった場合の対処法を解説します。
結婚詐欺の被害者は犯人に対してどう対応すればいいのでしょうか?
結婚詐欺師に対する3つの対処法
主な対抗策としては以下の3つがあります。
結婚詐欺は、詐欺罪に該当する立派な犯罪です。
犯人が捕まれば10年以下の懲役が与えられ、被害者からだまし取った財産が国に没収されることもあります。
犯人に制裁を与えたいのであれば、警察に逮捕してもらうのが最適でしょう。
被害届は警察署へ行けば出すことができます。
結婚詐欺の被害者は、犯人に対してだまし取ったお金を返すように請求することができます。
請求の形としては、主に以下のものがあります。
だまし取られたお金の請求方法
- 損害賠償請求…だまされて金銭的な被害を受けたので、その埋め合わせを請求する。
- 不当利得返還請求…人をだまして不当にお金を手に入れたのだから返すべきだと請求する。
- 立替払金返還請求…犯人が払うべきお金を立て替えていたので、その返還を請求する。
どれが最適かは状況によって異なります。
犯人に応じる意思があるのなら、裁判ではなく示談や調停で決着をつけることも可能です。
また、詐欺犯から没収したお金を被害者に返すための被害回復給付金支給制度も存在しています。
結婚詐欺の被害者が犯人から取れるお金は、だまし取られた財産分だけではありません。
結婚詐欺にあったことで、被害者は精神的なダメージを受けているでしょう。
それを埋め合わせるための慰謝料請求も可能なのです。
結婚詐欺の慰謝料の相場は50万〜200万円ほどで、以下のような条件があれば金額が上がります。
結婚詐欺被害の慰謝料を高額にできる条件
- だまし取られた金額が大きいこと
- 被害者と犯人の交際期間が長いこと
- 犯人が他の女性と交際していたこと
- 婚約、結納、引っ越し、同居など結婚のための準備をしていたこと
- 被害者が妊娠していること
すでに婚約していた場合は、結婚詐欺に加えて婚約破棄にも該当するため、特に金額が高くなります。
被害者が妊娠していて出産を望んでいるなら、子供の養育費を支払う責任からも逃れることはできません。
結婚詐欺で厄介なのは、警察が動いてくれるとは限らない点です。
「詐欺罪なのになぜ警察が動かないの?」と思うかもしれませんね。
最大の問題は、詐欺であったことの証明の大変さにあります。
詐欺罪というのは、成立するための条件が非常に複雑です。
簡単に説明すると、以下の5つを満たさなければなりません。
詐欺罪と認められるための条件
- 犯人に、被害者からお金をだまし取る意志があったこと。
- 被害者が実際にだまされたこと。
- 被害者が自分の意思で財産を処分したこと。
- 被害者の財産が犯人もしくは第三者の手に渡ったこと。
- 1〜4が一連の話としてつながっていること。
詐欺犯は最初から被害者をだます目的で活動しているわけですから、できるだけ証拠が残らないようにしているでしょう。
そのため、これらの条件を満たしていると警察に認めてもらうのは非常に難しいのです。
仮に犯人を見つけたとしても、「だますつもりはなかった」「返すつもりでいた」と主張されれば、それ以上の追求は困難になります。
警察も被害者の言うことだけを鵜呑みにするわけにはいかないので、そう簡単には動いてくれません。
警察を動かすには、犯人の特徴や経歴、だまされるまでの経緯などを細かく説明してください。
まれなケースではありますが、借用書を作成していた場合は警察が動きやすくなります。
もっとも、借用書の住所氏名などが本物の可能性は低いでしょう。
犯人を逮捕するのが警察なら、お金を取り戻してくれるのは弁護士です。
先に解説したように、犯人からお金を取り戻したり慰謝料請求をしたりするには、民事訴訟をはじめとする手続きを行わなければなりません。
これを自力で行うのは大変なので、弁護士に相談するのが最適だといえます。
ただし、弁護士は犯人の居場所を特定する活動を行っていません。
そのため、犯人が行方をくらませてしまえば、調停や裁判を起こすことはできないのです。
ほとんどの場合、被害者がだまされたと気づいた時点で、犯人は逃亡してしまっているでしょう。
お金を取り戻すためには、まず犯人の居場所を特定する必要があるのです。
警察や弁護士と並んで、結婚詐欺の被害にあった時に頼りになる存在がいます。
それが探偵です。
結婚詐欺被害に探偵が役に立つ2つの理由
探偵は、主に2つの点で力を貸してくれます。
結婚詐欺の解決において、最も厄介なのが犯人の居場所の特定です。
警察はなかなか動いてくれず、弁護士は人探しができませんから、他の方法を見つけるしかありません。
探偵なら詐欺の証拠の有無に関係なく犯人を捜索してくれます。
そして、お金を取り戻すためにはできるだけ急がなければなりません。
民事裁判によって「お金を返せ」とか「慰謝料を支払え」という判決が出ても、犯人に支払い能力がなければお金を取れないからです。
だまし取ったお金を犯人が使ってしまう前に、探偵に依頼をして捜索を始めてもらいましょう。
結婚詐欺の犯人を追い詰めるためには、証拠を固めておくことも大切です。
犯人が逃亡先で別の女性と暮らしていたり、そもそも既婚者だったりすれば、だます意思があったと認定される可能性は高いでしょう。
警察も動きやすくなり、損害賠償請求や慰謝料請求においても有利になれます。
また、犯人の言葉の真偽も確かめてみましょう。
会社の経営がうまくいっていないとか、母親が重い病気で手術代が必要だとかいって大金を出させる手口は定番です。
探偵の調査でこれらの言葉が嘘だったと証明できれば、犯人は最初からだますつもりでいたと証明できるでしょう。
探偵の調査などによって犯人の居場所が特定できると、犯人が自分から返金を申し出てくることがあります。
多くの場合、返金の目的は刑事訴訟の回避です。
被害者が警察に通報すれば犯人は逮捕され、懲役刑になるかもしれません。
そうなるくらいなら、お金を返すことで被害者に許してもらおうというわけです。
この提案を受け入れるかどうかは被害者次第です。
お金を取り戻すことが目的なのであれば、応じても構わないでしょう。
取り戻すだけでは不満なら、慰謝料請求も行ってください。
犯人も警察に捕まるよりはマシだと考えますから、交渉は被害者に有利に運ぶでしょう。
ただし、犯人に制裁を与えたい気持ちが強ければ、やはり警察に通報する方が適切です。
探偵の調査によって詐欺の証拠がつかめていれば、警察も動いてくれる可能性が高いでしょう。
詐欺の内容が悪質なら、実刑判決も十分考えられます。
そして、結婚詐欺師は複数の人をだましていることが珍しくありません。
警察の取り調べによって余罪が明らかになることもあるでしょう。
そうなれば、結果的に多くの被害者を救うことにつながります。
探偵が行うのは居場所や証拠の調査だけで、それ以上のことはしません。
犯人をどうするかは被害者自身が判断してください。
結婚詐欺は、被害者が泣き寝入りすることも多い犯罪です。
詐欺にあったことの証明や、犯人の居場所の特定が難しいからでしょう。
解決するのは大変ですが、何もしなければ金銭的な被害と裏切られたつらさだけが残ってしまいます。
警察・弁護士・探偵をうまく使い分けて、結婚詐欺師に対抗してください。